卒業生インタビュー 国公立大学への進学

旭陵高校(通信制)を2025年度に卒業し、一般入試で豊橋技術科学大学に進学した森くんに、進学までの経緯・受験勉強の進め方・後輩へのメッセージを伺いました。

(インタビュー:進路担当 山田)


1. 大学について

▲ その1「大学進学について」

卒業年度・現在の状況・入試形態

——まずは、卒業した年度、それから今の状況、大学入試の形態を教えてください。

2025年度に卒業しまして、今は豊橋市の方で一人暮らしをしております。入試の形態は、いわゆる共通テストを使った一般入試です。

大学を目指したきっかけ

——大学を目指すことにしたきっかけ、決め手があれば教えてください。

幼い頃から勉強が好きで、これといった大きなきっかけがあったわけではないのですが、テレビでエンジニアや研究者・技術者の映像を見るたびに「自分も将来こういう仕事がしたい」という気持ちが積み重なり、大学進学を意識するようになりました。

高卒での就職や専門学校への進学が自分の性格・特性に合っていないと感じていたことも、大学を目指した理由の一つです。

大学を目指した時期

——大学を目指すことにした時期について教えてください。

先ほどの話と重なりますが、小さい頃から技術者になりたいという思いが少しずつあったので、小中学生の頃にはすでに「自分は大学進学するんだろうな」と思いながら過ごしていた、という面が大きかったと思います。

【山田先生より】

森くんは小中学生の頃から大学進学を意識していたと話してくれましたが、ここまで早くから決まっている必要はありません。大切なのは「自分の性格や特性に何が合うか」を考え始めること。今の時点で迷っていても、それ自体はおかしくありません。

学部・学科を選んだ理由

——学部・学科を選んだ理由を教えてください。

工学系に進もうとしたきっかけは、自分の特性に合っているという点です。目の前の物事や与えられた課題を深く追求することがとても好きで、小中学生の頃から両親に科学館や博物館に連れて行ってもらっていたことが重なり、工学系を学びたいと思うようになりました。

また、今でいうメタバース的な世界を描いた『サマーウォーズ』のような映像作品に触れて、将来こういったものを自分で作ってみたいという気持ちが生まれたことも、工学系を選んだ理由の一つです。

豊橋技術科学大学を選んだ理由

——大学は豊橋技術科学大学に通っているということですが、この大学を選んだ理由を教えてください。

他の高校生より大学入学のタイミングが少し遅れていたこともあり、研究職だけではなく就職への道も視野に入れていた中で、豊橋技術科学大学の就職の強さが一つの決め手でした。

また、いわゆる総合大学ではなく工学系専門の大学であること、住み慣れた愛知県内であることも大きな点でした。

豊橋技術科学大学はもともと高専生の進学先として設計された大学で、実技分野に力点を置いたカリキュラムが特徴です。修士課程修了後すぐに即戦力として働けることを売りにしていると知り、卒業後の明確なビジョンが持てることも、選んだ理由の一つです。

また、保護者から県内への進学を希望されていたことも、決め手の一つになりました。

志望時期・第一志望の変遷

——豊橋技術科学大学はいつ頃から志望していましたか。最初からの志望校だったんですか。

旭陵高校に入学したときは、名古屋大学を志望していました。双子の弟が先に名古屋大学に入学していたこともあり、自分も同じ大学に行きたいという気持ちがあって、3年生の秋頃までは名大志望で勉強を続けていました。

ただ、改めてカリキュラムを客観的に見直す中で、豊橋技術科学大学は共通テストの比重が高い入試体系で自分の強みを活かせること、研究室のクオリティも名古屋大学と大きくは変わらないと判断したこと、そして終盤に共通テストの点数が安定してきたことが重なり、合格の可能性が高い大学に進学しようという判断に至りました。最終的に決めたのは、共通テストの自己採点をしたときです。

併願先と選んだ基準

——併願先と、それを選んだ理由を教えてください。

併願先として出願したのは愛知工業大学です。ただ、共通テスト全体の問題傾向や昨今の情勢もあり、実際には併願先として機能しませんでしたが、一応出願しました。

その他には名城大学豊田工業大学の二つで、それぞれ理由は異なります。名城大学は知名度が決め手です。知名度のある大学は就職などで強みになると考えたためです。豊田工業大学は学費の安さで有名で、私立でありながら国公立大学とほぼ遜色ない学費で通えます。難易度はかなり高いですが、合格した場合の選択肢として持っておくために出願しました。

オープンキャンパス

——オープンキャンパスには行きましたか。気にして見ていたところはどんなことですか。

実際に行ったオープンキャンパスは2か所で、一昨年の夏に中部大学、去年の夏に横浜国立大学にお邪魔しました。

気をつけた点は、幅広い学部を見ること。いろんな学部を見て、本当に自分がどこに合っているのかを客観的に確かめることを大事にしました。実際に学部選びの役に立ったので、大学進学を考えている人には、志望している学部だけでなく、さまざまな学部を見てみることをおすすめします。

今振り返ると、もっと多くの大学に足を運んでみればよかったという後悔も少しあります。気になる大学があれば、第一志望かどうかにかかわらず、幅広くオープンキャンパスに行ってみてほしいと思います。


2. 受験勉強について

▲ その2「受験勉強について」

受験勉強を始めた時期

——受験勉強を始めた時期について教えてください。

「受験勉強」自体の意味合いが二つの時期に分かれます。

旭陵高校の授業に加えた自主学習は、入学した高校1年生の頃から始めていました。主に数学で、青チャートという参考書を空き時間に解いていました。

本格的に計画を立てて受験勉強を始めたのは約2年前です。模試を受けて自分の弱い分野を把握し、参考書を購入したり塾の夏期・冬期講習を受けたりして補強するようになったのが、その頃からです。

塾・予備校の利用

——受験勉強には塾や予備校を利用しましたか。

2024年はほぼ丸一年河合塾に通い、週4〜5日、1時間半〜2時間の講義を受けてしっかり受験対策に取り組みました。

2025年は夏期講習のみ受講し、あとは自分で参考書を進めていました。

【山田先生より】

河合塾に週4〜5日という頻度は、費用も体力もかなりかかります。ここまでできない事情がある方もいると思います。森くん自身、後の話で「河合塾の講義が必ずしも自分に合っていたわけではなかった」と振り返っています。塾に行くかどうかより、「自分に合った勉強の仕組みをつくること」の方が大事です。

模試を受け始めた時期

——模試はいつ頃から受け始めましたか。

2023年の冬頃から受け始めました。それでも、もう少し早く受け始めればよかったと思っています。模試は毎回5,000〜6,000円ほどかかるため、必ずとは言いにくい金銭負担がありますが、費用が工面できるなら、早めに受けてみることをおすすめします。

旭陵の先生との相談

——旭陵の先生とはどのような相談をしましたか。

主に国語や理科の分野について相談しました。旭陵高校では基礎科目までの学習のため、その先の物理・化学などについては、分からないところを問題集を持参して先生に質問することを何度かしていました。

——担任の先生に相談したことはありましたか。

旭陵高校から一般入試を受ける生徒は多くないため、担任の先生にも状況を知っておいてもらいたいという気持ちもあり、年間を通じて何度か相談しました。

【山田先生より】

習っていない科目でも、わからないところがあれば担当の先生に相談してみてください。

受験勉強で大変だったこと

——受験勉強をしていて大変だったことは何ですか。

一番はメンタルの維持です。二度とやりたくないぐらい辛く、毎日本当に苦しかったというのが正直なところです。

もう一つは自己管理です。終盤は自己管理を周りの人に助けてもらう部分もありました。規則正しい生活と、学習している教科の進捗の把握。こういった管理は時々どうしてもブレが生じるため、手が空いている科目がないかを常に調整することに、かなり頭を使ったという記憶があります。

【山田先生より】

森くんが語る「自己管理」とは、体調を整えることと、勉強する範囲やペースを把握し続けることです。終盤はその管理を周りの人に助けてもらいながら乗り越えました。一人で抱え込まず、頼れる人に頼ることも受験を乗り越える方法の一つです。

大変さをどう乗り越えたか

——その大変さはどういうふうに乗り越えてきましたか。

参考になるかどうか分かりませんが、周りの方にたくさん相談することで乗り越えました。

ありがたいことに、受験についてある程度ノウハウのある方と話す機会がたくさんあり、悩みを聞いてもらうだけでも気持ちが楽になりますし、加えて具体的なアドバイスをもらえることもあり、それを実践することで気持ちがかなり楽になりました。

通信制高校ゆえの難しさ

——通信制高校である旭陵高校の生徒であるがゆえの難しさ、しんどさはありましたか。

一番は、すべての学習を能動的・自発的に進めることが、想像以上に体力を要することです。これは実際にやってみないと分からないことです。

全日制の生徒さんは学校に行けば授業としてカリキュラムを受けられますが、旭陵高校はそうではないため、自分から意欲的に受験科目を学んでいくことは、通信制高校ならではの大変さであり、校訓にある「自ら学ぶ」ということのリアルな難しさだと思います。

【山田先生より】

「能動的に動くのが大変」というのは、森くんだけの話ではなく、旭陵高校から一般受験を目指す全員に共通することです。「自分だけうまくできていないのでは」と感じたときは、まず担任の先生に話してみてください。一人で抱え込まないことが、この難しさを乗り越える最初の一歩です。

旭陵で開講していない科目の勉強方法

——旭陵高校では理科は基礎科目しかなく、物理や化学は開講していないんですけれども、そういった科目はどうやって勉強していましたか。

(「物理基礎」と「物理」は名前が似ていますが、高校では別の科目です。)

自分の場合は、本屋で参考書や問題集を購入して解くことで勉強していました。これが一番自分に合っていましたが、合わなかった方法も多く、通信制の教材や河合塾の講義はそれほど自分には合っていませんでした。

ただしこれは自分に合わなかっただけなので、そのまま参考にしないでください。まずは先生に相談することをおすすめします。担任の先生でも、その科目の先生でも構いません。物理基礎の先生であっても、物理の内容についてとても丁寧に答えてくださいます。そういった方々と相談しながら、自分に合った勉強方法を見つけてほしいと思います。

おすすめの参考書・問題集

——おすすめの参考書・問題集があれば教えてください。

理系に進みたい人に特におすすめしたいのが、「宇宙一わかりやすい」シリーズ(学研)です。ゼロから始めるのに最もわかりやすく、内容がスラスラと入ってくる構成なので、理系科目で一般入試に挑戦したいと思っている人は、まず本屋で手に取ってみることをおすすめします。

また、いわゆる「黄色本」と呼ばれる黄色い参考書も、わかりやすかったと思います。

問題集は数学にチャート式を使いましたが、自学自習という点では白チャートが特にわかりやすく、青・黄・白チャートを全部揃えましたが、自学自習であれば白チャートで十分だと思います。細かく解説されているのでつまずきにくく、自学自習で最も大事なのはつまずかないことなので、そういう教材を選ぶのがおすすめです。

そのほか使っていたものを挙げると、物理は良問の風、化学は重要問題集、英語は基礎 英文解釈の技術100(水色の表紙)、そしてやっておきたい英語長文500・700(主に500、終盤に700)を使いました。

【山田先生より】

参考書の名前がたくさん出てきましたが、全部そろえる必要はありません。本屋さんで一度手に取ってみるだけでも、勉強への入り口になります。


3. 旭陵生へのメッセージ

▲ その3「一般入試を目指す人へのメッセージ」

進路を決める上で気をつけてほしいこと

——進路を決める上で、気をつけた方がいいことがあれば教えてください。

これが、見ている旭陵の生徒さんたちに一番伝えたいことです。まず自分に合った進路を選ぶことが、一番大事だと思っています。

大学進学を目指す人は——自分も初めはそうでしたが——進学することそのものに固執してしまい、自分に合わない選択を続けて疲弊してしまうことが、一番陥りやすい落とし穴だと思います。

全日制の高校であれば学校がある程度背中を押してくれる場面もあるので、自分にあまり合っていなくても大学入学まで至れることがありますが、通信制高校から大学進学となると、自分に合っていない人にはかなり難しいと思います。

それよりも、自分に他の選択肢が合っているのではないかということも考えてみてください。専門学校や高卒での就職も含め、自分に何が合っているかを広い視野で考えて進路を選ぶことを、大切にしてほしいと思います。

一般入試の準備時期

——一般入試で国公立大学を受けるには、いつ頃から準備したほうが良いと思いますか。

正直に言うと、今日から準備を始めることが一番だと思います。やることがかなり多いので、「この時期から始めればいいか」という考えより、今日からできることを探してほしいと思います。

国公立を受けるために気をつけるべきこと

——旭陵高校から国公立大学を受けるために気をつけるべきことは何でしょうか。

まずは周りの大人に相談すること。これが一番大事だと思います。

これは他の進路でも同じですが、専門学校であっても、自分が進みたい進路について、親御さんや先生方、信頼できる大人に相談することが大切です。

特に大学進学においては、金銭面の負担やメンタル面のサポートは、周りの大人の支えなしには正直不可能だと思います。まずはその点についてサポートしてもらえるかどうかを相談することが、スタートになると思います。

後輩へのメッセージ

——最後に、旭陵高校から大学を一般受験する後輩に一言お願いします。

一般受験は、基本的には全日制の生徒さんが受験することを想定した難易度です。ですので、毎日教室で座って勉強する習慣がある生徒さんを相手に、通信制からは素手で戦っていく形になります。それはかなり難しいことで、乗り越えていくためには、一人一人の自主性、受験する理由、大学でどういう生活をしていくかというビジョンが不可欠になります。

【山田先生より】

ここで森くんが「素手で」と言ったのは、毎日授業で勉強する習慣を持つ全日制の生徒と、同じ試験に挑む「条件の差」のことです。「難しいからやめなさい」という意味ではなく、「その差を知った上で準備してほしい」という意味です。知ることが、準備の第一歩になります。

最初にも話しましたが、オープンキャンパスに行って大学に行くビジョンをしっかり持つこと、他の選択肢と比べて自分に大学進学が合っているかどうかをきちんと見直してほしいと思います。

通信制高校からの一般受験は、かなりのいばらの道だと思います。それでも、大学に向けて一般受験をしたいという方には、その経験それ自体が皆さんにとって価値あるものになる、ということを伝えて、インタビューの締めとさせていただきます。ありがとうございました。


インタビューを終えて

【山田先生より】

インタビューを通じて印象に残ったのは、森くんが「自分に合うかどうか」を一貫して判断の基準にしてきたことです。塾も参考書も、「自分に合っていたか」という視点で振り返っていました。

進路の正解はひとつではありません。大学進学が合っている人もいれば、そうでない人もある——そのことを、森くん自身が正直に話してくれました。

この記事を読んでいる皆さんに伝えたいのは、「森くんと同じようにしなければいけない」ということではありません。森くんの経験から、自分の進路を考えるヒントをひとつでも見つけてもらえれば、このインタビューは十分意味のあるものになったと思います。進路に迷ったときは、遠慮せず声をかけてください。

(担当:進路担当 山田)